全館空調とは、配管をとおして冷たい空気や温かい空気を各部屋に送風する設備のことです。冷暖房により、リビングやキッチンなどの室温を一定にするので一年中快適に過ごせるようになります。また、換気機能も備わっているのでキレイな空気を安定して供給できるのも魅力です。そこで本記事では、全館空調のメリット・デメリットを紹介します。
そもそも「全館空調」ってなに?
全館空調の概要と種類について紹介します。
全館空調とは?
全館空調とは、冷暖房を各部屋に循環させ室温を一定に保たせる設備のことをいいます。全館空調は、室温や浮遊粉塵量などに対し明確な基準値はないため、どの程度効果が期待できるかはメーカーによって違いがあります。
また24時間換気システムと混同されがちですが、まったくの別物です。24時間換気システムは、シックハウス症候群の対策を目的とした設備であり、家の容積に対し0.5回/hの換気が法律で定められています。全館空調があっても、24時間換気システムの代わりにはならないので注意してください。
全館空調の種類
全館空調には4つのタイプがあります。「天井吹き出し型」は、天井裏に配管を設置し天井の吹き出し口から冷暖房を送風するタイプです。「床下冷暖房型」は床下の基礎部分を冷暖し、壁や窓などに取り付けた通気口から送風します。
「壁パネル型」は各部屋に設置した壁パネルを利用し、室外機で作った冷温水を循環させることで温度調整するタイプです。「壁掛けエアコン型」は空調室に設置したエアコンをもとに、配管をとおして各部屋に送風していきます。
全館空調のメリット
全館空調を採用するメリットを3点紹介します。
家中の温度が一定になる
全館空調を導入することで、リビング・キッチン・寝室・浴室に至るまで1年をとおして温度が安定します。24時間365日室温を一定に保てるため、夏の夜に寝苦しくて何度も目を覚ますことがなくなるでしょう。冬であっても温かいため、早朝目覚めたときに布団から出るのが億劫になるといった心配もありません。
また温かい部屋から冷たい浴室に移動した際に起こるヒートショックのリスクも減ります。ヒートショックは、急激な温度変化による血圧の低下が原因で発症します。心筋梗塞や脳梗塞をまねき、最悪の場合死に至ることもあるので、全館空調を取り入れることで未然に防げます。
部屋が片付きスッキリする
全館空調を採用することで、ヒーターやストーブなどを室内に露出する必要がなくなるため住空間がスッキリします。ストーブやヒーターを設置すると場所を圧迫することはもちろんのこと、インテリアや内観とミスマッチになりオシャレさを損ないます。また掃除のたびに重いストーブを移動させたり、片づけたりすることもなくなるため手間と負担を軽減できるでしょう。
空気がキレイになる
全館空調は、冷暖房機能だけでなく換気機能も搭載しているため空気をキレイな状態に保ちます。わざわざ意識的に窓を開け、新鮮な空気を取り込まなくても換気できるため湿気や嫌な匂いがこもることがありません。また天候が悪くて窓を開けられなかったり、花粉が多くて換気できない場合に、全館空調が役立つでしょう。
全館空調のデメリットや注意点
全館空調のデメリットや注意点を4点お伝えします。
初期費用がかかる
全館空調の相場は、一般的な住宅の広さである40坪を想定した場合100~300万円ほどかかります。メーカーや搭載している機能によって価格が前後しますが、高額な導入費用がかかることは間違いないでしょう。
また住宅自体に気密性・断熱性がないと全館空調のメリットを活かせません。外からの冷気が入ってきたり、温かい空気が逃げやすかったりする住宅では、全館空調を取り入れても効果を発揮できないでしょう。そのため、気密性・断熱性が低い場合はリフォーム費用も追加で発生します。
電気代が高くなる
1日中全館空調を稼働することになるので一般的な住宅よりも電気代が高くなります。全室の温度が一定になるほどのエネルギーを消費するので、電気代が割高になるのは避けられないでしょう。できるだけ電気代を節約したい人は、夏は高めの設定温度にしたり、冬は低めの設定温度にしたりするなどして工夫してください。また太陽光発電を設置して電気代を再生エネルギーで補えるようにするのも一つの手段です。
乾燥しやすい
全館空調を導入することで冬場は特に乾燥しやすくなります。乾燥し湿度が低下すると、肌の水分が蒸発しやすくなるため肌荒れや吹き出物の原因になります。また空気が乾燥することで、木造住宅であれば木材自体の水分量が少なくなるため火災が発生しやすくなるでしょう。
匂いが広がってしまう
一時的ではありますが、ペットのトイレ臭や生ごみの匂いが全館空調により拡散されます。換気機能があるので1~2時間ほどで空気が入れ替わりますが、悪臭を我慢するのは辛いでしょう。悪臭が広がらないよう強い匂いが発生するものは速やかに処理するなどして対策してください。
まとめ
本記事では、全館空調のメリット・デメリットを紹介してきました。全館空調とは、配管をとおして家全体に冷たい空気や温かい空気を循環させる設備のことです。全館空調を導入することで夏は涼しく冬は温かい住環境になります。さらに、空気を清潔に保てるよう換気機能が備わっているのも魅力です。一方で、導入費用に100~300万円ほどかかったり、電気代が高くなったりするのがデメリットです。メリット・デメリットを踏まえたうえで全館空調の導入を検討してください。