「HEAT20」とは?ZEHとの違いやメリットを紹介 

公開日:2024/05/15

HEAT20とは、住宅の省エネルギー化・高断熱化を目的に設立された団体のことです。HEAT20の基準を採用した住宅を建てることで、室内の温度が一定になり快適性が大幅にアップします。また省エネにも繋がるので光熱費削減に効果的です。そこで本記事では、HEAT20の概要やZEHとの違いなどを解説します。

そもそもHEAT20とは?

HEAT20の概要や世界中で注目されている理由をお伝えしていきます。

HEAT20とは?

HEAT20とは、2009年に設立された「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」のことです。住宅の省エネルギー化・高断熱化を推進することを目的に立ち上げられました。この団体は、住宅メーカーをはじめとした住宅に関する知見を持った専門家により構成されているのが特徴です。

HEAT20が提案した「断熱グレード(住宅外皮水準)G1・G2・G3」という、今までになかった断熱基準のもと家づくりすることで、環境に優しく高品質な住宅が完成します

HEAT20が注目されている理由

HEAT20が注目されているのは、2020年に発表された「2050年カーボンニュートラル宣言」によるところが大きいです。環境改善に向けた活動が世界中で進められている中で、カーボンニュートラルも改善に向けた取り組みのひとつです。

社会全体が出す二酸化炭素排出量のうち、住宅が占める割合が多いことからHEAT20が注目されるようになりました。住宅の断熱性能を高めることで、二酸化炭素の排出削減の効果が生まれます。

HEAT20住宅の基準

HEAT20が定める断熱基準を満たすにはUA値をクリアする必要があります。UA値とは、外皮平均熱貫流率のことであり、住宅全体の断熱性能を表す指標のことです。UA値が低いほど、内部から外部へと熱が逃げにくくなり断熱性能が高いことになります。

またUA値を満たすだけでなく、建築的要素・設備的要素・創エネルギー的要素の3点をクリアする必要があります

HEAT20とZEHの違いとは?

HEAT20と似たような意味合いで「ZEH」という言葉があります。両方とも住宅の断熱性能を表す指標ではありますが双方には明確な違いがあります。

ZEHとは、消費エネルギーを再生エネルギーでまかなえる住宅のことです。主に、高断熱性・省エネルギー性・創エネルギー性の3つの観点から家づくりがされています。

一方HEAT20は、断熱性能を表すUA値のみが基準として設けられているのが特徴です。HEAT20の方が気密性に優れているため、住み心地・光熱費削減の点において優れています

HEAT20のメリットや注意点とは

HEAT20のメリット3つと注意点2つを紹介します。

メリット1 各部屋の室温差が少なくなる

住宅性能をHEAT20基準にすることで断熱性が高まり、室内の温度を一定に維持できます。真冬や真夏であっても、快適な住空間になるためストレスなく過ごせるでしょう

またすべての部屋において温度が均一なので、暖房がついていない廊下やトイレであっても急激な温度変化がありません

メリット2 結露・カビが発生しにくい

HEAT20は住宅の結露やカビの抑制にも役立ちます。結露は、外と室内の温度差が原因となり窓ガラスなどに水滴としてあらわれます。結露が発生しやすい住宅は、水分が壁や床につくのでカビ発生の原因になるでしょう。

また、結露は壁の表面だけでなく、内部でも発生するため徐々に腐食が進みます。腐食が原因で住宅全体の耐久性が落ち、地震が起きたときに倒壊のリスクが高まります。ちなみにリフォームする際に大きな修繕費用がかかることがあるため、長期的に見てもHEAT20にすることのメリットは大きいです。

メリット3 省エネ性が高いから光熱費を抑えられる

高い省エネ効果が期待できるので光熱費の削減に繋がります。断熱性能が高いことで室温が上がるため冬の寒い時期であっても10℃を下回りません。そのため、暖房をつけても設定温度を低くできるので電気代が安くなります

エアコン・ヒーター・コタツなど、電化製品に頼ることも少なくなるので消費エネルギーを低減させられるでしょう。生活スタイルや地域にもよりますが、年間数万円の光熱費削減になることもあります。

注意点1 建築費が高額になる

HEAT20の基準を採用するには、断熱性能の高い窓ガラスや断熱材などを使用する必要があります。そのため、一つひとつの設備や材料が高額になることから、建築費が割高になるのは避けられません。一般的な住宅よりもグレードの高い仕上りになる一方で、それなりのコストがかかることを覚えておきましょう。

建築費は割高ですが、光熱費を抑えられる分ランニングコストが少ないので、総合的に考えてHEAT20を採用するか検討してください。

注意点2 メンテナンス費用がかかる

窓ガラスやサッシなど、経年劣化が進むと性能が低下するため、買い替えのタイミングで費用がかかります。一般的な部材よりも性能が良いので費用はおのずと割高になるでしょう。安価な製品に変えることもできますが、そうすると断熱性能が下がるのでおすすめしません。

まとめ

本記事では、HEAT20の概要やZEHとの違いなどを解説してきました。HEAT20とは、2009年に設立された「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」のことです。住宅の省エネルギー化・高断熱化することを目的にしています。HEAT20は断熱性能を表すUA値のみが基準にされている一方で、ZEHは高断熱性・省エネルギー性・創エネルギー性の3つが基準となっているのが違いです。建築費が高額にはなりますが、光熱費が抑えられランニングコストを少なくできるので、その点をふまえHEAT20にするのか検討するといいでしょう。

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