
新築の注文住宅を建てるとき、多くの人が楽しみにする一方で注意したいのが「シックハウス症候群」です。建材や内装材に含まれる化学物質によって、目やのどの違和感、頭痛、アレルギー反応などが起こることがあります。本記事では、新築で起こりやすい症状や原因を解説し、アレルギー反応が出にくい家を建てるための工夫を紹介していきます。
新築で気をつけたいシックハウス症候群とは?症状と注意点
新築の注文住宅は快適さやデザイン性に優れていますが、一方で「シックハウス症候群」と呼ばれる健康被害が起こる可能性があります。以下では、シックハウス症候群の原因や症状、そして新築で発症した場合の注意点について紹介します。
ハウス症候群ってどんなもの?
シックハウス症候群とは、住まいの環境が原因で体に不調が出ることを指します。壁材や接着剤などから放出される化学物質や、ダニ・カビで汚れた空気を吸い込むことで発症するケースが多いです。
大きな特徴は、住宅や部屋の外に出ると症状がやわらぐことです。特に新築住宅は気密性が高く、化学物質が外に逃げにくいため、症状が出やすい傾向があります。アトピーや喘息を持っている人は、引っ越しを機に症状が悪化する場合もあるため注意が必要です。
シックハウス症候群の主な症状
症状は人によって異なりますが、目のチカチカやかゆみ、鼻水、のどの痛み、頭痛、吐き気、じんましん、体のだるさなどがよく見られます。軽い症状であっても生活に支障をきたすことがあり、重い場合には呼吸困難に至ることもあります。
原因となる仕組みはまだはっきりとわかっていませんが、同じ環境にいても発症する人としない人がいることから、体質や免疫力の違いも関係していると考えられています。
症状はいつまで続く?
新築でシックハウス症候群を発症した場合、多くは入居から4年ほどで症状が落ち着くといわれています。しかしこれはあくまで目安であり、住宅の換気状況や掃除の頻度などによって大きく変わるものです。
十分な対策を取らなければ、4年以上たっても症状が続くこともあります。健康に安心して暮らすためには、化学物質を含まない建材を選んだり、こまめな換気や湿度管理を行ったりと、住まいの環境づくりを意識することが大切です。
アレルギーに配慮した注文住宅づくりのポイント
せっかくの新築でも、住んでからアレルギー症状が出てしまっては安心して暮らせません。以下では、アレルギー反応が起きにくい注文住宅にするための工夫や、建築会社選びのポイントについて紹介します。
安全な建材と現場管理を意識する
シックハウス症候群の原因物質として知られるのが「ホルムアルデヒド」です。飛散量によって等級があり、最高等級はF☆☆☆☆(エフフォースター)です。また、建材だけでなく、接着剤や塗料などにも化学物質は含まれるため注意しましょう。
建築現場にはさまざまな職人が出入りし、それぞれの部材を使うため、有害なものが持ち込まれないよう管理体制がしっかりしている会社を選ぶことが大切です。
引渡し前の検査で安心を確認する
建築会社を選ぶ際には、引渡し前に化学物質の飛散量を検査してくれるかも重要なポイントです。厚生労働省では基準値を定めていますが、空気環境測定は義務ではありません。
そのため、しっかり測定を行い、基準値内であることを確認してくれる会社を選ぶと安心です。こうした検査を経て引き渡される住宅であれば、入居後のリスクを減らすことができます。
掃除のしやすさを考えた設計にする
アレルギーを防ぐには、住んでからの清掃のしやすさも大きなポイントです。壁や床に凹凸が多いと、汚れやほこりがたまりやすく、掃除機やロボット掃除機も使いにくくなります。
素材選びも工夫が必要で、キッチンや洗面所など水回りには掃除しやすいフロアタイルやクッションフロアがおすすめです。清潔を保ちやすい家にすることで、アレルギー反応のリスクを減らすことができます。
建ててからでもできる!注文住宅のアレルギー対策
新築の注文住宅に住み始めてから、思いがけずアレルギー症状が出ることがあります。ですが「建ててしまったからもう対策できない」とあきらめる必要はありません。設備の工夫や日々の暮らし方を見直すことで、住んでからでも快適な環境を整えることは十分に可能です。
換気システムを見直して空気をきれいに
アレルギー対策のひとつとして、24時間換気システムを「第1種換気システム」に変える方法があります。これは給気口と排気口の両方に機械を使って空気を入れ替える仕組みで、確実に空気を循環させられるのが特徴です。
他の方式よりコストはかかりますが、家の中の空気を清潔に保てるため、アレルギーのリスクを減らす効果が期待できます。健康を考えるなら、導入を検討してみる価値があります。
掃除と天日干しで清潔な環境を維持する
新しい家で快適に暮らすには、こまめな掃除を習慣にすることが大切です。アレルギーの原因になるほこりやダニを取り除くことで、症状を軽減できます。
また、日光には殺菌や乾燥の効果があるため、布団やカーペットを天日干しするのも効果的です。晴れた日には積極的に外に干すことで、湿気を防ぎ、アレルギーの元を減らすことにつながります。
まとめ
新築の注文住宅は快適で魅力的ですが、シックハウス症候群やアレルギー症状といった健康リスクが隠れていることも忘れてはいけません。建てる前であれば、ホルムアルデヒドの少ない建材や管理体制の整った施工会社を選ぶことが大切です。さらに、空気環境の検査を行っているかどうかも安心材料になります。そして建てた後も、換気システムの見直しやこまめな掃除、天日干しなど日常の工夫で快適さを守ることが可能です。家づくりでは「安心して暮らせる環境」を意識することが、長く健康的に過ごすための大切なポイントになります。